
この記事を読み終わるころには友だちに「社債とは何なのか」を説明できるようになります。
本記事は、よく株式と対比して語られる社債についてわかりやすく解説をしていきます。
社債は深ぼると難しい内容がたくさん出てきますが、本記事では「社債」という言葉を聞いたことしかない方でもわかるように構成されていますのでご安心ください!
この記事を読むことで、
- 社債の概要
- 社債と株式の同じ点、違う点
- 社債の価格が変動する流れ
- 「パー」「アンダー・パー」「オーバー・パー」とはなにか
- 社債の利率と利回りの違い
- 社債の利回りの分類
を知ることができます。
目次
社債をわかりやすく解説

社債とは、企業が資金を調達することを目的として発行する債券で、株式の発行や金融機関からの借り入れ以外の資金調達手段としてよく用いられます。
簡単に言うと、企業が発行する「借用証書」です。
本章では社債の概要や種類を解説していきます。
社債の概要
企業は発行した社債を投資家に買ってもらうことで、借入れ(デット)という形で資金を調達することができます。
社債は原則「額面100円」で発行されます。

社債の種類
社債の種類はいくつかあります。
本記事ではもっとも一般的な「普通社債」についての解説をしていくので、その他の種類については名前のみをご紹介します。
- 普通社債【ストレートボンド(SB)】
- 転換社債【チェンジャブルボンド(CB)】
- ワラント債
- 劣後債
- 電力債
などがあります。
社債と株式のちがいをわかりやすく
同じく企業が資金調達をする手段として株式の発行がありますが、社債と株式はまったくの別物です。
このふたつの同じ点と違う点をそれぞれわかりやすく解説していきます。
社債と株式の同じ点
社債と株式の同じ点は、価格が変動する点です。
株式の価格が変動することをご存知の方は多いのではないかとは思いますが、実は社債の価格も変動します。
「え、借用証書なのに価格が変わるってどういうこと?!」と思われた方、
ご安心ください。後ほどご説明します。
また、社債はいつでも購入でき、いつでも売却することができるという点も株式と同じです。
社債と株式の違う点
社債と株式の違う点は、企業に資金の返済義務があるかないかです。
株式は投資家による企業に対する出資なので、企業はその資金を返済する必要がありません。
その代わりに、投資家は株価の変動で生じる差額によって利益を得たり、配当金を受け取ったりすることができます。
一方で社債は債券のため、あらかじめ決められた期日(償還期日)に達すると企業から投資家へ資金が返済されます。
ただし、前述のとおり社債も価格の変動を伴いますので、必ずしも債券を購入した資金が全額返ってくるわけではないということに注意が必要です。(後ほどご説明します。)
投資家は債券価格の変動で生じる差額によって利益を得たり、利息を受け取ることができます。
利息の支払いは四半期に1回や半年に1回、1年間で1回など様々です。
資金が返済される期日のことを「償還期日」と言い、返済されることを「償還」と言います。
ただし、企業が破綻した場合には返済されない可能性があるので、その点には注意が必要です。
社債の価格が変動する流れ

それでは、社債の価格が変動するということに驚かれた方もいるのではないかと思いますので、その流れをご説明していきます。
ここで例のお話をしますので、想像してみてください。
いかがでしょうか?
これにより、Xさんが持っていたA社に対する100万円の借用証書の価格は90万円になりました。
つまり、別の言葉で言うと「債権譲渡」が行われているということです。
上記は債券の価格が下落する場合の例ですが、もちろん価格が上昇することもあります。
それは、例えばその債券を発行している企業に信用があり、「価格が高くても利息を受け取りたいから購入したい」と考える投資家が多いときに社債の価格は上昇していきます。
前述のとおり社債は原則「額面100円」で発行され、償還されるのも「額面100円」です。
つまり、発行時の価格が「額面100円」だったものが発行後に変動し、償還時に再び「額面100円」で償還されるということです。
こちらの図を見てなんとなくイメージをしていただけますと幸いです。

社債に関するこまかい知識
この章では、こまかい知識をかいていきます。
- 「パー」「アンダー・パー」「オーバー・パー」とはなにか
- 社債の利率と利回りの違い
- 社債の利回りの分類
今までの章で社債の基本はおさえましたので、最後に知識をつけましょう。
「パー」「アンダー・パー」「オーバー・パー」とは
- 債券価格が100円のときを「パー」
- 債券価格が100円以下のときを「アンダー・パー」
- 債券価格が100円以上のときを「オーバー・パー」
と言います。
社債は「額面100円」で償還されるので、
「オーバー・パー」で買った投資家が最終償還期日まで保有していると「償還差損」が発生し、
「アンダー・パー」で買った投資家が償還日まで保有していると「償還差益」が発生します。
社債の利率と利回りの違い
似ている言葉として「利率」と「利回り」という言葉がありますが、ふたつは違う言葉なので注意が必要です。
これらを区別できることが重要なので、この機会にしっかりと理解しましょう。
社債には、クーポンが付いている利付債と、クーポンが付いていない割引債というものがあります。
額面100円で「利率3%」と言えば、1年間で3円が利息として支払われるということです。
利回りの分類
社債の利回りは、以下の4つに分類できます。
最終利回りとは、投資家が最終償還期限まで社債を保有した場合の年利子と1年当たりの償還差損益の合計額の投資元本に対する割合のことです。 投資家は通常最終利回りで投資判断をしますので、しっかり理解しましょう。
応募者利回りとは、投資家が新発債(新たに発行される債券)を発行価格で買い付け、最終償還期限まで保有した場合の年利子と1年当たりの償還差損益の合計額の投資元本に対する割合です。 ちなみに、応募者利回りは最終利回りの一種です。
所有期間利回りとは、投資家が既発債(すでに発行されている債券)を時価(市場価格)で買い付け、償還期限まで保有せず途中で売却する場合の利回りのことです。
直接利回りとは、購入価格に対して1年間にどれだけの利息(クーポン)が受け取れるかの割合のことです。これは償還差損益を無視してクーポン収入のみに着目した利回りで、期間収益を重視する機関投資家や事業法人が用いることが多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
これまで「社債」という言葉を聞いたことはあるけどどういうものかは知らなかったという方でも、なんとなくのイメージをしていただけたのではないかと思います。
債券は株式と比べてリターンは見込めないものの、その反面でリスクが低くリスクを管理しやすい魅力のある金融商品です。
債券に投資をする投資信託も非常に数多く販売されています。
これを読んで社債に投資をしようかと考えた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、社債は株式と比べて単価が高く最低でも50万円から100万円という資金が必要という難点があります。
ただ、元手資金が必要ということはどの投資をするにしても共通していることなので、実際に投資をする前に社債についてもっと深く勉強する時間を取ることができると前向きに考えていけるといいと思います。
XさんはA社に年利3%で100万円を貸しており、あなたはその借用証書を持っています。
返済期日は2年後です。
すると突然A社の業績が悪化して、あなたはA社が2年後には倒産すると思っています。
倒産してしまうと資金が返済されない可能性が非常に高いですから、あなたはビクビクしています。
ところが、そこにA社は2年後もまだ問題なく存続していて、100万円は返済されると考えているYさんが現れました。
YさんはXさんに、「あなたが持っているその100万円の借用証書、90万円なら買ってあげてもいいよ」と言いました。
XさんはA社が2年後に倒産すると思っているので、「0になるぐらいなら今のうちにYさんに90万円で売って90万円だけでも回収したい!」と思い、90万円でYさんに売却しました。